2014年10月07日

テストの点は遺伝の影響が大きい。そして遺伝の影響は知性だけではない。



という話。

Science のニュース記事にあった


The high heritability of educational achievement reflects many genetically influenced traits, not just intelligence.


という論文。読んでみたんだが・・。


6653組の双生児(一卵性 2362人、二卵性の同性の組 2155人、二卵性の異性の組2136)について、GCSFGeneral Certificate of Secondary Education:英国で義務教育の最後に受けるテスト)の点と、9つの要因を評価するアンケートの回答の相関を評価した。

その9つの要因のアンケートは以下。


@知能テスト

A学校での自己効力感(辞書によると、外界の事柄に対し、自分がなんらかの働きかけをすることが可能という感覚。私の解釈では、自信と行動力のこと)

B自分が思う自分の性格

C自分が感じる幸福度

D親が思う自分の問題行動

E自分が思う自分の問題行動

F自分が思う健康度

G自分が思う学校の環境

H自分が思う家の環境


この中の要因を(A)遺伝的要因 (B) 双生児が共有する環境要因 (C) 双生児が共有しない環境要因 で調整した結果、GCSF というテストの結果は、(A)遺伝的要因の寄与が62% であるという。そして、(B) 双生児が共有する環境要因の寄与 は26% (C) 双生児が共有しない環境要因の寄与は 13% であるという。


で、問題はここから。この遺伝的要因のうち、知性は51% 程度の寄与だという。残りはそれ以外の要因ということだ。自信と行動力が37% 、性格が20% 、幸福度が8% だという。(100% を超えるのは、これらが独立因子でないからという説明がされている)。

これも大雑把に言えば、知性以外の、性格や行動といった遺伝的な要因が、テストに影響するということだろう。

この結論をどう使うか、なのだが・・・。


全く個人的な感想なんだけど、遺伝と言えば教育の場ではもともと持っている知性、知力とほぼイコールに考えていた。

しかし、よく考えれば、性格や、日常生活での行動や選択だって遺伝の影響を受けているはずだ(例えば、遊ぶのを我慢して勉強するとか)。それらの遺伝の要因の総和が6割以上もテストの点に反映されるのだという。そして、双生児の共有する環境というのが、4分の1程度しかない。これを外部からの介入で改善できる要因だと解釈したらば、それは、たったの4分の1しかないことになる。残りの1割程度が、その個人に特異的な体験などの偶発要因という風に解釈できるだろう。これは介入の仕様がない。その個人の持っている運、と同じことだ。


となれば、医師の子どもは医師になり、役人の子どもは役人になるという社会格差が次世代に受け渡されることでも、それが試験の結果であれば、科学的にある程度は容認可能な事実になってしまう・・・ということになるんでは。逆のパターンは、あえて言わないでおこう。


It is important to emphasize that finding genetic influence is not a counsel of despair in terms of helping children who find learning difficult.


とあるが、ネガティブに受け取れば、ネガティブな結論しかでないような。


それにしても、多変量解析を使った論文は難しい。これは、教科書を探して勉強せねば・・。

posted by ペンギン太郎 at 23:42| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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