2015年06月24日

仕事がない世界。アメリカでは25歳から54歳までの男の6人に1人は働いていない。今後20年で半数の仕事がなくなる。post -workist ってなんですか。

という話。

The Atlantic の

A World Without Work.

という記事を読んだ。The Atlantic の記事を読む前に、New York Times の記事で、不景気だろうが、好景気だろうが、アメリカでは働かない男がどんどんと増えていて、今やその数6人に1人、なのは知っていたし、今後20年で機械化の影響で、現在の仕事のかなりの部分が消滅してしまうことも耳にしたことがあった。

ちなみに、この、「次の20年で、アメリカの仕事の半数は機械ができるようになる」というのはオックスフォード大学の予想だとのこと。

で、この記事の要点だが、仕事がないことが普通になる世界で、いかにすれば、人々はよりよく暮らせるのか、ということがまじめに考察されている。そういうことをまじめに考える人たちをpost-workist というらしい。

読んだ感想だが、アメリカ人というのは実にタフだ。この記事の自分なりのエッセンスは、勝負に勝てなければルールを変えちゃえ、それでも駄目なら、別のゲームをやればいいじゃない、という事。post-workist は、仕事がないなら、仕事なしでも個人が尊厳と目的を持って生きることができる社会をつくればいいじゃない、という。

所得が減って、物が買えなくなった。だったら所有しないで、共有すればいいじゃないか、という発想(と、アメリカ人の実際の行動)をみたときにも驚いたが、将来的に大多数の人間が仕事にありつけない現実を既定路線と考えて、さて、どうする、という考察が成り立つこと自体にも驚きである。

いろいろと考えさせられたが、自分に当てはめてみても、仕事だけが人生じゃないという価値観は容易にはひっくり返らないのだな。根本的な部分では。たとえば、仕事をやめて、ゲームに命をかける、という人がいたら、

あほかいな。

と普通に思う。自分の誤読でなければ、post-workist の言う、仕事が無いのが普通、な世界では、そういう人が、負い目もなく普通にゲームをやりまくってるわけだ。考えてもみよ。30代の男が、仕事をしないでゲームに没頭しているのが、街でよくある光景、な世界を。
機械化で人々は仕事から解放されて、自由な時間を好きなことに費やせる、っていう未来予想は私の子供時代からあるけど、それをリアリティをもって考察すると、絵をしてはどうしてもおバカになってしまうのだ。
そして、その世界での仕事というのも、どこかゲームのような感覚のような印象なのだ。そして、なんだか共産主義の夢の世界を見ているようだ。

自分の感想ばかり書いていて、具体的にこういうことが書いてあった、とは書けない理由なのだが、実は、読んでも読んでも、書いてあることが夢の中のようで、よくわからないのだ。想像がつかない事物を扱った外国語の文章が、どれだけ難しいか思い知った。

さて、個人的な意見。

労働が美徳、ないし必須条件であるという価値観をひっくり返すのは並大抵のことでは無理だ。なぜか。近代社会というのは、集約的な労働とそれが産みだす圧倒的な富の力を通して、身分制度やら封建的な縛りやらを脱して、人々は自由と社会への参加の権利を手に入れた、と私なら考える。

となれば、労働の義務から解放されたとき、それにくっついていた自由も社会への参加の権利もなくなるのでは、と想像する。

つまり、機械化した生産手段を保持している連中が、それを人質にとって貴族化し、それを持たざる者はスティグマを負って下位の階級に貶められるのではないか。そこに政治的な圧力も加われば、それはそれは悲惨な世界が待っていることだろう。

私の言っていることは、半分は皮肉だ。派遣労働者を見るがよい。彼らは、特定の会社に縛られない自由を手に入れているじゃないか。さらに言えば、正規労働者の仕事を免除された、特定の仕事をしないくてもよいことが許された、ある意味では解放身分だ。が、その実態はどうかと言えば、私の口からは出るまでもなかろうがよう。

かつての女性の立場を想像するがよい。確かに、仕事からは解放されていた。しかし、その社会的地位はどうだったでしょうかね。仕事をしているが故に、男性は女性に対して優位だったのではないかしら。

労働からの解放は、ユートピアの出現ではない。陰鬱な階級社会の出現だ。結局、このThe Atlantic の記事はアメリカ人が階級社会を経験してないからが故の、夢の世界なんじゃないかと思う。まったくの個人的な意見だけど。

どうすればいいのか、と提案だが、やっぱり、自由と自分の尊厳のため、おのおのがた、仕事にしがみつけ、としか言えんような。










posted by ペンギン太郎 at 19:22| Comment(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月17日

韓国のMERSのアウトブレイクについて。WHOを信じれば、今後は、それなりに楽観的です。



という話。

韓国でMERS (Middle East respiratory syndrome coronavirus )のアウトブレイクがあった。えらい騒ぎだ。それで


Middle East Respiratory Syndrome (MERS) in the Republic of Korea

http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/situation-assessment/update-15-06-2015/en/#


というWHOのレポートを読んだ。ものすごく省略して要点を言えば、そんなにやばい状況ではなさそうだと。


(1)今年の5月20日に中東にいった一人の男性が、MERSに感染していたことが判明。隔離。

(2)この男性が受診した医療機関で感染拡大。感染拡大は、医療機関内だけで限られており、現時点で、全ての感染例は、この男性にまでさかのぼれる。一般人口の中にMERSが入り込んでいることは確認できていない。

(3)アウトブレイクしたMERS-CoVウイルスを調べてみたが、中東でのアウトブレイクのものと同じだった(もっと凶悪な病原体に変異したとか、そんなんは無さそう)。


ということ。理屈上、

@現在の比較的少数の感染者からの他への感染を防ぐ。

A医療機関内だけで感染拡大している→医療機関内での感染防御の徹底。


の2つをやっていれば、そのうち終息することになるんだろう。ただし


All outbreaks are unpredictable. This is especially true for a comparatively new disease like MERS, where so much about its epidemiology, modes of transmission, natural history, and clinical features remains poorly understood.

(すべてのアウトブレイクは予想がつかない。MERSのような比較的新しい感染症では、とくにそうだ。MERSはその疫学も、感染方法も、自然歴も、臨床的な特徴も、わずかしか分かっていないままだ。)


と結んでいる。こういう怖いフラグ立てないでくださいよ。


2013年のNew England Journal of Medicine の記事

Hospital Outbreak of Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus.

によると、やはりこのときのMERSのアウトブレイク も病院内で感染拡大したとある。とくに、透析室で感染が拡大した。透析ということは、感染経路が、血液を介した伝播なのだろうか。

(それとも、単に免疫能が低下した透析患者に感染しやすかっただけなのか)。


2013年4月1日から5月23日の間にサウジアラビアで確認された23例のうち、6月12日の時点で、死亡したのが15例(65%)、回復したのが6例(26%)、まだ入院中が2例(9%) と。

死亡率65% はすごいな。


この記事を、自分が覚えておきやすいようにまとめると「熱が出ていて呼吸器症状と腹部症状のある、中東に渡航歴のある人」はMERSの疑いがあるということか。しかし、上気道からのサンプルでは偽陰性になりやすく、病状がすすまないと検査が陽性にならないとか。なんともやっかいな。


で、WHOの

Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)

http://www.who.int/mediacentre/factsheets/mers-cov/en/


によれば、死亡率は36% とややおとなしい数字になっている。36% でもすさまじいが。


重複になるけど、MERSは

There have been clusters of cases in healthcare facilities, where human-to-human transmission appears to be more probable, especially when infection prevention and control practices are inadequate. Thus far, no sustained community transmission has been documented.

(医療機関内で症例が集積している。とくに、感染防御や感染コントロールのやりかたがまずい場合には、医療機関内では、ヒト - ヒト感染がおこりやすい。これまで、市中での持続した感染伝播は報告されていない。)


とある。やっぱりMERSの人から人への感染経路は、血液経路じゃねーの。病院の中だけでし感染伝播がなくて、透析室で感染拡大したんであれば。根拠のあまりない素人の推理ですけど。


現時点でのauthorityのある機関と学会誌から判断してみて、韓国の一般社会でMERSが感染大爆発、というのも起こりそうにないし、ましてやその影響が隣国の我が国にまで波及するとは思えない。


ニュースをみてて思うのことだが、病的なのは、MERSそのものより、それをとりまく韓国人の社会政治認識の方か。こんな限りなく事故に近いような一件でも、アイツが悪い、コイツが悪いになってるのが、なんとも・・・。


診断が難しく、予想も難しく、症例も少ない、そもそも良くわかってない致死的病原体が、なぜか蔓延したってのは事故以外の何物でもないと思うんだが。

posted by ペンギン太郎 at 18:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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