2014年12月30日

アメリカ軍の悲劇について。チキンホークの国について。自分が死なない限りは、大胆にも勇敢にもなれるし、強硬な意見も言える。



という話。


The Tragedy of the American Military.


というThe Atlantic の記事を読んだ。A4で印刷したら39ページもあったぜ。


大まかな内容。

13年もイラクとアフガニスタンで戦争を継続しているアメリカ。現在、


@軍隊と一般国民の間にかなりの溝ができてしまっており、軍隊自体が一般のアメリカ人にとってある種の外国、ないしは別の種族の世界になってしまっている。一般のアメリカ人は、ただ軍隊や軍人を英雄として賞賛はするが、軍隊の中のことを知ろうとはしない。


Aかつてのベトナム戦争時には、軍隊内外から多くの欠陥の指摘、批判があり、その後に改善や見直しがなされた。今回のイラク、アフガニスタンではこれだけ長期化し、望ましい結果も出ていないのに、問題提起もなされなければ、改善もなく、見直しもない。


B軍事予算についても改善も見直しもない。高価でメンテナンスが大変な兵器がつくられ、今後の軍事介入にどれだけ役にたつのかも分からない(実際に役に立ってない)。そして、軍事予算の配分が政治的経済的な問題になってしまっており、削減することが難しい状況になってしまっている。


C一般国民は、隔離された軍隊を賛美して、戦争にゴーサインをだすだけ。軍隊や政治家は予算や武器、戦略、戦術の見直しをしない。長期化する中東の戦争で、結果がでていないのに、アメリカ軍は世界一の無敵なんだ、という病的心理にはまりこんでいる始末。さあ、どうするの?


この記事には、やたらとChickenhawk(チキンホーク) っていうワードが出てくる。久しぶりにみたような。安全なところにいながら、戦争だ戦争だー、とかいう強硬派のことだ。人間にとって、最も下劣な行為は、安全なところにいながら、他者を戦場に駆り立てることだ、っていうのは「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリー提督の言葉だったっけ。著者は、現在のアメリカの軍隊をめぐる状況を、全部チキンホークでまとめている。


軍隊が一般国民から隔離され、一般国民はチキンホーク化して戦争賛美と軍隊賛美。そして政治家も国民も、反省も自己批判もなく、失敗と敗北を繰り返しては、俺たちは世界一強いんだ、と自己満足の世界。

これだけ読むと、アメリカの未来は限りなく暗い。


で、チキンホークの国アメリカでは、


If more members of Congress or the business and media elite had had children in uniform, the United States would probably not have gone to war in Iraq.

(もし、もっと多くの議員、財界、メディアのエリートの子どもが軍隊にいたならば、アメリカはイラクへの戦争へと向かうこともなかっただろう。)


だと。なんともひどい話ではないか。これが正しいんだとすると、イラク戦争の原因は、究極的に言えばアメリカの国内問題ということになる。イラクはたまたま、ターゲットになっただけ。そういうことにならないだろうか。アメリカが最初から、イラクを成敗する理由があるんだとしたらば、有力者の子弟が軍隊にいるかいないかなんて関係ないはずじゃないか。

アメリカは自分にとってelusive な国だ、とはどこかで書いた気がするが、このへんがどうしても分からないのだ。


ちなみに、アメリカで徴兵制復活を主張しているグループの根拠が、上に書いた中に含まれている。志願制だと、特定の社会階層(具体的には低所得者層の子ども)にのみ兵役の負担がいくことになる。金持ちや一般家庭の人々が戦争に賛成するせいで、軍隊に行く他に選択肢のない貧困家庭の子どもが、次々に戦場で若い命を落とす。不公平だろ!!チキンホークも金持ちも、戦場に行け!!アメリカの戦争なら、アメリカ人のお前らも戦え!!


ということ。


毎回まとまらないが、個人的な意見。

いくつかは、我が国がすでに通った道のような。日中戦争とか、まさにこんな展開じゃなかったっけ。軍隊賛美に、戦争賛美に、成果のない泥沼の戦争には無批判で無反省。

その後に決定的な敗北がやってきて、猛烈な軍隊批判、軍隊嫌いの時代が来るわけだ。この道をアメリカが通るのかは分からないが、どうなるんだろう。


で、別の話。

今後、日本も憲法改正して戦争が出来る国にするならば、徴兵制も復活させるべきである。理由は、上に書いたことが全てだ。戦争の現実も知らず、リアリティも感じず、負担も知らないチキンホーク国民が、職業軍人だけ戦場に送り出す。つまり、自分の命は大事な臆病者が、他人の生死を無責任に決めるということだ。これは、国家的統合と共同体に対する、致命的な誤謬だと自分は考える。この誤謬を正すためには、国家が、(あくまで戦争をするんだとしたらばの話だが、)強制的に国民を戦場に送り出して戦争がなんたるかを、生死が関わる問題がなんたるか、を教えるべきだ。国家の責務である。というより、これは自分独自の意見ではない。ルソーが「社会契約論」で言っていることだ(ちなみにルソーの故国のスイスは、徴兵制が今でも存続)。


最期に。私は憲法改正には反対である。ただでさえ、同盟国アメリカの言う事は黙って聞くしかない現状、日本が憲法改正したらば、中東の戦争に巻き込まれて1020年、何の利益になるのか分からないのに戦い続ける羽目になる可能性が高い。そして、チキンホーク日本のチキンホーク日本国民が、自分は死なないから、という理由で職業軍人をどんどん外国に送り出す。なんの得になるのか分からない戦争をいつまでもいつまでも、莫大な金をかけて続けて、低所得層の若者が無意味に戦場で死ぬ。そういう最低のシナリオしか思い浮かばない。


この事態を避けたいか、より公平な方向にするには、憲法改正をするならば、徴兵制復活を掲げるのは最良の選択肢と考える。というか、ネットや書籍での保守派の言説を見る限り、憲法改正を訴える個人や集団が、徴兵制になると途端に反対に回るのは自分にとっては非常に不快な現象だ。徴兵制反対は、チキンホークの証明みたいなもんだ。死ぬのが自分じゃない限り、勇ましい意見や強硬な事なら、いっくらでも言えるよな。






posted by ペンギン太郎 at 15:07| Comment(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月25日

フランスの医師がストライキ中だという。医療機関への支払いを保険会社を通すシステムを医療に導入したら,医師は膨大な書類を書いたのに,お金を払ってもらえないという悲劇もありえるんでないの。改革は全て正しいはずだ,というドグマについて。



という話。


私の第二外国語はフランス語である(第一は言うまでもなく英語)。英語とフランス語はかなりの類似性がある。文法の骨格は概ね同じ。語彙は67割が重複するという。

で,フランス語の文章を,Google 翻訳を使えば,殆んど破綻のない英語の文章が現れる。それをもとにフランス語の語彙をチェックすれば,基本的事項をおさえているだけでフランス語の文章は読めてしまう。


Très Bien ! Merci beaucoup , Google!


で,今回の話題。


Le Parisien というフランスの新聞からなんだが,フランスの開業医(といっていいのか。初期治療をするクリニック)の70-80% が,これから1週間,ストライキで休業中なんだそうだ。理由は医療改革に反対を表明するためだという。


薬剤師にワクチン接種をさせることが嫌だとかいうのもあるんだが,患者の払っていたお金の支払いを le tiers payant  つまりは保険会社に通す支払いにすることが争点らしい。


Ils craignent de crouler sous les tâches administratives, de faire face à des difficultés de paiement, que le tiers payant déresponsabilise les patients avec l'idée qu'aller chez le médecin ne coûte rien...


とあり,はっきりと言えば,医師は,(保険会社への)提出する書類は膨大な量になるのに,保険会社からの支払いは不確実になるかもしれない。やってられるかバカヤロー,ということ。


まあ,保険会社にすれば,支払いを減らせば減らすほど利益になるわけだから,その支払いのプロセスを複雑にして,「ここの項目が抜けているから支払いはしない」「ここのところの説明不十分,支払いはダメ」みたいなことをやるんでしょうなあ。こういうことを書いたら怒られるのかしら。


その結果として,医師は書類を書いても,書いても,書いても書いても書いても書いても,保険会社は,「ダメ」「ダメです」「支払いしません」「支払する理由はない」「説明不十分,やり直し」「もう一回書類提出お願いします」って言われてお金を払ってもらえない,みたいな展開になることが予想できるんだろう。だから反対してるんだね。


20 minutes っていう新聞社の記事もだいたい同じ。


Le tiers payant généralisé pourrait amener une surcharge de travail conséquente pour les médecins au quotidien. ≪Il faudrait un système beaucoup plus simple, nous n'avons pas le temps de faire toutes les démarches [liées au tiers payant généralisé].


とある。やはり,(報われるかどうか分からない)仕事量だけ増えるというのは理不尽だ! と怒っているわけだ。


ここから個人的な意見。

医療機関がストライキをするかどうかの是非は,あえて別にしよう。このフランスの医師の怒りは,私は正当性のあるものだと思う。だってそうだろう。リアルに想像して,お金がもらえないかもしれない煩雑な書類仕事をいきなり押し付けられて,しかもそれが,生活に関わってくる問題になるんだったら,誰だって腹が立つだろう。


一昔前の日本だったら,改革に抵抗する抵抗勢力,既得権益ってことになったのかしら。しかしだ。改革を受け入れよ,と主張する前に,その改革の中身はどうなんだ。

書類仕事に追われる医師は,患者をみれなくなるし,そうなれば不利益を被るのは患者だ。医師は,生活かけての膨大な書類仕事を患者ひとりひとりにやってるから,外来の待ち時間は増えて予約はいっぱいで入らない。患者はみる余裕が全然ないから,診察の質も量も落とさなきゃ。それもこれも,保険会社が支払ってくれるために書類を書かなきゃいけないから。さて,誰が得をする?


暴論かもしれないが,言ってしまおう。改革という言葉に引かれる輩,改革と言われれば驚くほど素直に賛成に回る輩は,ストレートに言って頭が悪いのだ。そして,改革という言葉も,政治家が国民に理不尽なことを押し付けるために使う,魔法の杖になってしまっている。これはフランスだけじゃなく,日本だって同じだ。


これと同じような改革案が,日本でも出たとしよう。誰が得をするのか分からない(というより誰も得しないに決まっている)のに,大賛成する人々も,おそらくかなりの数で,出てくると想像する。理由は改革だから。改革は全て正しい。だから,この改革案も正しいんだ。したがって,改革に反対するのは間違っている。


マーティン・メイリアって人が書いた「ソヴィエトの悲劇」って本の最後の方で,共産主義のドグマがいかの多くの人間の心を酔わせる作用があったか,って書いてるんだけど,改革のドグマもそれとたいして変わらないのかもしれない。というより同じである。中身の検証以前に,素晴らしい,正しいになっちゃうんだもの。


現代の呪文。魔法の言葉。あらゆる理不尽をおしつける正当性をもつ聖なる言葉。

それが,改革。



posted by ペンギン太郎 at 00:21| Comment(0) | フランス語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月20日

Exif (exchangeable image file data) 情報が、本当に怖すぎるということについて。ケータイの写真をネットに上げたら、どこで何をしていたのかが、第三者に分かってしまう。あたしぁ、今とってもcreepyな気分だよ。



という話。

「誰も書けなかったネットビジネス13兆円の危険な錬金術」(宝島社)という本を読んでみた。

私は、IT技術にはそれなりには疎い。というより、ソーシャルネットワークとか、Facebookとかが流行りだした頃から全くついていけなくなり、ついていく必要もないありがたい環境にいるので、取り残されたままで安穏と暮らしている。Facebook もtwitterもやっていないし、やる気もない。

で、電車が来るまで時間があいたという理由で買った、上の宝島社の本を読んだのだ。何の気なく。この会社の書籍を読むのは10年ぶりだろうかと。

で、Exif (exchangeable image file data) 情報というもんが、怖すぎるので書く事にした。以下引用。

「今、デジカメやスマホで写真を撮るとExif(エグジフ)情報と呼ばれる文字情報などが自動的に埋め込まれます。ネットから簡単にダウンロードできる解析アプリを使うと、その写真の撮影日時やスマホの機種、サムネイルなどの撮影情報がわかります。さらに悪いことにスマホについているGPS機能が働き、位置情報まで埋め込まれる。その写真が、いつどこで撮影されたかが丸わかりになってしまうのです」(前出・N氏)
仮にツイッターやブログで「今日は家でごはんを食べた」と夕食風景を携帯で撮影し写真をアップすると、自宅のおおよその住所がExif情報に埋め込まれてしまうということになる。
(第3章 個人情報を喰いちぎるソーシャルメディア)

だそうだ。この後に、一人暮らしの女性は気をつけてね!(写真をネットにアップしたら、いまいる場所が特定されるよ!)と書いてある。

いや、宝島社、十年前と変わってない。このさらりと怖いこと書くとことか。さすが。

幸い、このExif情報はツールを使えば削除できるんだそうだ。しかし、GPS付きのカメラやケータイを知らずに使っていて、ネットに写真をアップしたらば、日付と場所が特定されるというのは、いくらなんでも怖すぎないか。この本は、2012年4月に出ているので、その後の事情が変わってなければ、結構な数の人間が、ネットにアップした写真を介して、悪意があるかもしれない第三者に行動と時間を追跡されていることになるのでは。こえー。

そう、これですよ。これ。この方向性。ついていけないわ、と思ったのが。IT技術が、個人情報を含むマスデータの蓄積と追跡とかに焦点が当たりだしてからだ。かつての夢の技術革新だったネットとIT技術が、自分の中で、creepyなものになっていったのは。それはまあいいか。個人的なことだから。

で、他ソース。

The hidden data your photos are giving to criminals and how to protect yourself.
(WCPO CINCINNATI 2013)

という記事では、Facebook に写真を載せていた女性が、その写真が解析されて、留守中に泥棒に入られたという事例が乗っている。
他、アフガニスタンにいるアメリカ軍兵士が写真を撮ってネットに載せたら、Exif 情報を介して基地の正確な位置まで分かってしまったという事例が乗ってる。大丈夫かアメリカ軍。
また、他、爆弾をつくってその写真をネットに上げて「これでドカーンだ」とかやっていたおバカな生徒が、Exif情報をもとに特定されて警察に逮捕された、という事例があった。

他、
Dark Side of Tech teaches Internet , phone safety.
(the Almanac 2014)
というサイト記事は、ネットでのトラブルに巻き込まれやすい10代生徒に対しての講演内容だが、そこでもExif情報の危険性が言われている。写真には、GPSによる位置情報と時間が、記録されてしまう、と。それをアップすると・・・。怖いなあ。やっぱり。

他にもネットで探してみたが、関連記事があまり出てこないのでこの辺で。大手メディアをあたっても、あんまり記事がヒットしないのだ。

以下、個人的な意見。
こういうのは勘弁してほしい。知らないところで追跡されているとかcreepyにも程があるんだぜ。そもそも、個人に、気づかないままで不当なリスクを負わせるというのは、どう考えても納得できない話だ。
ケータイを買うとき、カメラを買う時に「写真には、デフォルトのままだと現在位置と時間が記録されるので、それをネットに上げたら追跡されるかもよ?」とかいう話はあるの?あるもんなの?

・・・あたしぁ、今とってもcreepyな気分だよ。








posted by ペンギン太郎 at 01:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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